作編曲者のための
尺八講座

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シリーズ3
−−− 転調 −−−

尺八に限らず、一般的に和楽器は、
いきなり転調するのが苦手です。
「転調」と聞くと、
大工さんと出喰わしてしまった猫のように、
身構えてしまいます。

尺八の場合、
転調≒楽器持ち替え
の、意味があります。

モノによっては、楽器を持ち替えないでも
比較的楽に対応できる転調もありますが、
「も、ずぇったい無理!」
という転調もあります。

どこまで同一の楽器で対応可能か?
それを以下の表にまとめます。

が、しかし、
独りよがりの表なので、解りにくいことこの上なし!
とりあえず解説は下の方に書きますので。

転調の表 ←PDFです

1尺8寸の行を例にして説明します。
7孔の1尺8寸管は、B♭(♭×2)調ですが、
これは、全部手孔を塞いだ状態より、
下から一つずつ手孔を空けていくと、このスケールになります。

で、これが♭の数が増えたり減ったりするとどうなるか?

この場合、手孔を解放ではなく、
半開きとして音を半音変えて音を作る所がでてきます。

ですから、
7孔の1尺8寸管の場合で、
E♭調やF調に対応する場合、
一カ所だけ手孔が半開きの手が存在することになります。

これらの音はピッチが不安定になりやすく、
(ま、慣れればそんなでもないですが…)
速いパッセージには、ちょいと不利になりますし、
音色的にも伸びやかさが足りなくなります。

で、さらに♭の数が増えたり減ったりするとどうなるか?

要するに半開きの箇所が2カ所に増えます。
さらに増減があると半開き箇所が3カ所に…

ってなワケで、実は音域さえ合えば、
出来ない調なんて無いんです。
ただ、 指がだんだん難しく なり
音色がだんだんショボク
なるだけで。

この難しさと音色のショボさと、
転調の難易度、音域などを鑑みて、
「この曲は、この管」、
と、持つ管を決める訳です。

そこに、表の一番上に、
いろいろ書いてあることの意味があります。

「ごくふつう、ふつう、まぁふつう」
この範囲であれば、普通に指が動く範囲というところです。

「ぶぅぶぅ」
は、まぁ普通の範疇ですが、ぶぅぶぅ言いたいところです。

「キライ」
やってやれないことはないけどさぁ…あのさぁ…

まぁ、こんなところで、「キライ」の手は、
やむを得ない時以外はやりたくないですね。

(2005.06.23)
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