作編曲者のための
尺八講座

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ーーー …っぽい音 (2)ーーー

前章の続きで、
「らしい」テクニックをご紹介します。

----ムラ息----

ムラ息とは、
尺八の奏法として、定番であり、
西洋人からは「奇跡の奏法」などと言われています。

ムラ息は、各音で行うことが可能ですが、
なにせ息を使います。
連続してムラ息をすると
体力の限界を感じます。

当然、ムラ息でロングトーンなんてのは
トンデモナイ話。

また、ムラ息は、唇のテンションがゆるみます。
そのため若干音程が下がる傾向にあります。
やろうと思えば音程は調整可能ですが、
そもそも、ムラ息とは
音程を気にしながら行うようなものでもありません。

そんなワケですので、
ムラ息を連続するような曲は書かないでクダサイ。

----ユリ----

「揺り」と書きます。
要するにビブラートのことなのですが、
尺八の場合、
多少のバリエーションがあります。

縦ユリ
文字通り、首を縦に振って音を出します。
結果的に
前章で述べた「沈り」「浮り」効果が出て、
派手に音程が上下します。
横ユリ
これも文字通りです。
音程も音量もビブラートします。
息ユリ
これは、尺八の奏法として
正面から認知されているとは思えません。
しかし、多くの尺八奏者が(無意識に?)
行っている方法でありますし、
管楽器一般で言えば
至極普通のアタリマエのビブラート奏法です。

通常の演奏において、
これらのユリが単独で行われることは、
あまりありません。

 通常のユリは
これらのユリが微妙にミックスされています。
 このミキシング加減と、ユリの周期、深さなどを
いろいろと加減することによって、
 バリエーションが増えてきます。

通常、ユリとは
奏者の裁量の範囲内で
自由に行いますが、
縦ユリだけは、
作曲者の意志として
奏法指示が譜面上に
書かれることがよくあります。


----玉音----

「ぎょくいん」ではありません。
「たまね」と読みます。
一般的な管楽器では、
フラッターと言われる奏法です。
この奏法も、
あまり連続してほしくない奏法ですね。



----装飾音----

上記の奏法も、
言ってみれば装飾音なのですが、
尺八の場合、
派手に付ける場合が多々あります。
「コブシ」と言われることもあります。

いままでご紹介したいろいろな手を、
微妙に織り交ぜながら装飾音を
作ります。

特に、演歌のバックなどでは、
これでもかァ!とやらかします。

演奏実践は、次の章で!

(2006.03.31)
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